工事とかくれんぼ

マンションの外壁の大改修が始まって3か月が経った。管理会社からの通達の後、あっという間に足場が組まれ、建物全体に粗い幕がかかり、窓からの風景がすべて灰色になった。どのような作業をしているのか全く分からないが、ベッドが窓際にあるため、休日に寝ていると、まるで自分も作業をしているかのような気持ちになるほど音が聞こえる。「お前のやり方だと仕上げの時に二度手間になるんだよ。ここは下からやっていかないと」という指導が聞こえてきた時は、職場の上司の顔と声で頭の中で再生してしまい、鳩尾がギュッとなった。頭まで布団をすっぽり被って、無理やり二度寝をしようとする。作業員が足場をバタバタ移動するため、普段は聞こえないはずの音が四方から聞こえてきて、目をつぶっていると自分がどこにいるのか分からなくなる。ふと、ガラス1枚とカーテン1枚隔てた先に人がおり、私は息を潜めている状況が、まるでかくれんぼで鬼が近くにいる時のようだと思った。子供のころ「バ~リア!」と宣言するだけで無敵になっていたことを思い出し、小さい声で「バ~リア」と唱えると、急に安心してきて、頭がゆっくりと枕に溶けていった。