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今までの自分の思考と行動の関係は、思考が先にあって、ゆっくりと行動につながっていた。ところが最近は全くの逆で、思考より先に行動になっている。良いか悪いかを比べると悪いと感じている。「考える手を持て」と言われたことがある。訓練によって自然と手が動く状態。職人が恐ろしい速さで精巧な作品を作るように、手が全てを知っている状態。これは素晴らしいと思う。私の場合は、自分の身の丈に合っていない行動。どうしてこんなことになっているのか、分からない状態だ。ハッと気づき手を見ると血が...のような、自暴自棄に近い状態。

「こんなはずではなかった。」と感じる時間が多くなった。しかし、どんな状態を望んでいたのかと問うと、そんな望みのある状態は特にない。楽器がうまくなりたいとか、ちゃんと素直にお話したいとかそんなところだ。

「自分なんてない」と感じる時間も多くなった。他人に対する無関心さが自分に対しても出てくるようになった。色濃くなりたいと思っていた時は、自分がどんどん透明になって誰もこっちを見てくれなかったのに、透明になりたいと願えば、どんどん色濃くなっている。

昆虫の身体の変化。幼虫がさなぎになり、成虫に至る時、もし昆虫に繊細な感情があったら、どんなことを感じるのだろうか。大いに矛盾を感じるのだろうか。いつの間にか身体に変化がやってきて、自分の意志では止めることのできないと分かった時、矛盾と虚無と絶望を抱くのもいるのではないだろうか。

時間が背中に迫ってきている。毎日、先の見えないジェットコースターに乗っているように、加速し、いろんな事象が迫っては消え、また現れる。加速を感じながらも、自分が前進しているのか後退しているのか分からない。

近くにいた人が、離れていく。今までいなかった人が現れた。私のあずかり知らぬところで話だけが進んでいた。突然泣かれた。理由は分からない。