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時間が止まったような街に行った。人もいて車も多い街なのに時間が止まって輪郭がぼやけていた。小さいころから何度も行っている街なのだが、何も変わらない。もちろん建物は建て替わるし住んでる人も歳を重ねていて変化はあるのだけど、街の雰囲気だけはいつも蜃気楼のような曖昧さに包まれている。山に沿って家を建てるからか、地形に合わせるために建物に統一性がなく、道は細く曲がりくねり、少し開けるとすぐ荒れ果てた墓や、崩れた神社がヌッと現れる。家も、道が細いからだろうか、改修や取り壊しがされていない古い木造家屋や空家が多い。どこにたどり着くか分からない道を恐る恐る進むと、古い空家の窓の内側に蜂の死骸と生きているがもう長くないだろう蜂がびっしりと張り付いていたし崩れた家屋の隙間から和式便器の白さとじめじめとして暗い場所に似つかわしくない蛍光色の塩素の容器が見えてぎょっとした。植物に覆われ土地と一体化しているとしか思えないものに、人のいた形跡を見つけると生々しく、一層不気味に感じられた。

 

 

 

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