19

 晴れ。雲がない。

 暖かくなって夕方から夜の間がとても心地よい。時間がのんびり過ぎていく。昨夜は天気は良かったのだが風が強かった。薄暮の中洗濯物を取り込んでいる時、風が少し冷たく秋から冬になる時のような季節の厳しさの予感があった。秋から冬になる時の風のツンとした匂いは小学生の頃によく感じていた。秋も中ごろからはもう陽が落ちるのが早く、18時には暗くなってしまう。暗い中を遊ぶのは小学生の私にとって大人になったような錯覚があったし、なにより、地べたに座り込んでダラダラ話す無為な時間が好きだった。暗いからか普段話せないような日常のささやかな想いや不安を告白し合った。その時間になると何故かみんな普段より優しくなるような気がした。隣の中学校が18時ぐらいになると海援隊の「贈る言葉」を校内に流していたので、贈る言葉を聞くと今でも小学生の頃の記憶が秋風のツンとする匂いと共に思い出す。暗い中学校から武田鉄矢の声が反響していたのは今考えると不気味ではあるが、思い出深いの曲である。