読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

14

 晴れ、でも不安定。

 今年は花見をせずに終わりそう。桜を見て綺麗だなとは思うけどそれ以上の感慨が何もない。飯を食べて酒を飲んだ後のあの微妙な空気がどうしようもない。ただだらだらするというのが苦手だ。何かを得なければと焦って変な汗をかく。多くの人が花見をしているのだけど桜を見て何を感じているのか非常に興味がある。高い所から見下ろす一面の桜絨毯や春の風によっておこる花吹雪の壮大で幻想的な風景に圧倒されたり、老木に生まれた一輪の桜に悠久の時を感じ涙したりするのだろうか。今の例は想像でしかなく私にはこういう感情の動きがあまりない。桜だという感じはする。俺はこんなにも美しい景色の中にいるのにそんなに感慨を持つことができないかと悲しくなる。

 

 

 

 前の日記にも書いたが人といると辛いが人にのめり込みたい矛盾を抱えている。どうしようもないぐらい、肉体の接触以上の接触。

--------------------------------------------

恋人よ。

たうとう僕は

あなたのうんこになりました。

 

そして狭い糞壺のなかで

ほかのうんこといっしょに

蠅がうみつけた幼虫どもに

くすぐられてゐる。

 

あなたにのこりなく消化され、

あなたの滓になって

あなたからおし出されたことに

つゆほどの怨みもありません。

 

うきながら、しづみながら

あなたをみあげてよびかけても

恋人よ。あなたは、もはや

うんことなった僕に気づくよしなく

ぎい、ばたんと出ていってしまった。

 

金子光晴「人間の悲劇」より「もう一篇の詩」

--------------------------------------------

 もうこれ以上近づくことができない愛情、溶けて混ざって泥のように、どちらがどちらか分からなくなるような愛情。

 

 叔父が心不全で入院したので見舞いに行った。叔母が来ていたので改めて挨拶をした。向こうもライブの時に気が付いてなかったみたいだ。叔母は神経症のため、叔父の家に荷物を取りに行った時、冷蔵庫をちゃんと閉めたか不安でそわそわして、もう一度、わざわざ叔父の家に行ってしまった。身に覚えがある不安だったので血の繋がりを感じてしまった。叔父はしっかりしていたが、死ぬリスクは高まったのでとりあえず演奏はやめることと、死んだあとの版権の話を聞いた。もう遺言は預けているらしいのでまあ大丈夫だろうとのこと。骨は海にでも撒くか、聞いたら「そして船は行く」みたいになりそうだから嫌だと言われた。難民が乗り込んできたりバカでかい軍艦が砲撃をしてきたりするのは楽しいのになと思った。

 

 

※この日記は朝書いたのだけど、この夜、友達と歩いていると道に迷ったドイツ人がいて一緒に花見をした。なので、「今年は花見をせずに終わりそう」というのは朝の時点でのことである。ちなみに桜は綺麗でした。