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 雨だった。もう少し季節が進んだら良い雨になるだろうな。冷たいし大粒で下品だった。天気を見ながらぼーっと過ごすのは性に合わない。叔父は台風になるとサンダルで傘を差さずに外を歩くらしいがほんとなのか分からない。しかしそうしたくなる気持ちは分かる。

 結構な量の書類を持って外を歩き回ってたのでへとへとになってしまった。しかし忙しいと時間はあっという間に過ぎるように錯覚するので大変良い。嫌なことがあった時「時間は均等」という言葉を強く思うことは気持ちを軽くするのに有効であることに最近気が付いた。物事は厳密に規則正しく刻まれているはずだ。心臓の音を聞くと落ち着くらしいが、無機質に刻まれる音は心が乱れた時に寄り添える柱になる気がする。ガルシア・マルケスの短編で心臓の鼓動をひたすら数えてついに数が足りなくなり困ってしまう人物がいた気がする。何の作品だっけ?